おせち料理の「あわび」の意味や由来を解説します!
おせち料理の「あわび」というと高級食材というイメージがありますね。なかなか普段の食卓には並びませんし、ハレの日しか食べられないとっておきの存在であるあわびの産地、由来、旬、とこぶしとの違いを含めて、おせち料理でどんな意味が込められているのかを詳しく解説いたします。
目次
国内産あわびは4種類に分類される!主な分類とそれぞれの産地をご紹介します。
日本国内産のあわびは4種に分かれます。
まずは主な分類の特長と、それぞれの産地・生息地について詳しくご紹介いたしますね。
クロアワビ
貝殻や身が青黒く殻は細長い。お刺身に向いています。
主な産地・生息地:太平洋側は茨城県以南、日本海側では奥尻島以南、九州まで。
エゾアワビ
クロアワビの一種で、寒冷地型です。
主な産地・生息地:太平洋側は茨城県から北海道・噴火湾にかけて、日本海側は稚内から秋田県にかけて。
メガイアワビ
貝殻や身が赤褐色で殻はなだらか。柔らかいので蒸しあわびや煮あわびに向いています。
主な産地・生息地:太平洋側は房総半島以南、日本海側は新潟以南の沿岸部から九州地域にかけて。
マダカアワビ
メガイアワビに色は似ており、貝が深くて身が厚く大きいのが特長です。
生息地:太平洋側は茨城県以南、日本海西部沿岸、九州地域にかけて。
国内漁獲量としては北海道、青森県、岩手県、宮城県などが多くなります。
あわびの旬はいつ頃?
クロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビの旬は夏で、特に梅雨時は身が太り柔らかでおいしくなります。
寒冷地型のエゾアワビの旬は秋から冬がシーズンです。
普段なかなか食卓に並ばないので、あわびの旬の時期を意識したことがなかったのですが、改めて調べてみると品種ごとに美味しい旬の時期が異なるんですね!
秋から冬にかけて北海道を訪れる機会があったら、旬のエゾアワビを味わってみたいなぁと思います(*∩∀∩*)ワクワク♩
あわびが食べ頃に成長するまで何年かかる?
どの種も産卵期から数えると、通常の食用にされる大きさ約12~13cmになるのに関東で約4~5年程、北海道では約7~8年かかるそうです!
こんなに長く時間をかけて成長するなんて知りませんでした。月日に感謝し、大切に味わいましょう。ŧ‹”ŧ‹”(๑´ㅂ`๑)ŧ‹”ŧ‹”
御祝い事の「熨斗」はあわびと深い縁がある
贈り物を包む時、箱の上に「のし紙」をかけますよね。
「のし紙」の水引きの右上の辺り添え垂れている包みのような絵柄を「熨斗(のし)」と言います。その「熨斗」には、実は、あわびが包んであると言われています。
「熨斗」をよ~く見ると、六角形の包みの真ん中に、細長いものが包まれているのがわかると思います。その細長いものが、あわびを薄く剥いて乾かして伸ばし細く切った「のしあわび」です。
のしあわびがおめでたい由縁
薄く切って伸ばすということから永遠、発展、めでたいことが続くようにという意味合いを含んでいます。
あわびは貴重な食材で不老不死の妙薬・寿命を延ばす薬と言われ、長寿の象徴としてお祝いに欠かせない物とされていたそうです。
神様のお供えものとしてこの「のしあわび」は神社などに奉納されたことから、縁起物として祝事などの高価な贈りものに添えたのが始まりと言われています。
現在は印刷で済ませたり黄色い紙で代用したりですが、いずれも日本人にとってあわびが高級で縁起のいい象徴であるということが分かりますね。
おせち料理であわびの意味
昔からあわびは貴重だったので、祭りの供物や土地の神様に対する供物として贈答する習慣があったそうです。
また、あわびは長生きで、15年から20年ほど生きると言われていることから、不老長寿の象徴とされています。
縁起のいい貝なので、おせち料理としても好まれて食されるようになり、その文化が現在も続いています。
「あわび」と「とこぶし」の違いを見分ける3つのポイント
「あわび」とよく似た貝「とこぶし」をご存知ですか?
「とこぶし」とは、「あわび」によく似ている貝で、「あわび」に比べて全体の大きさが小さめな貝です。まるで「ミニあわび」と言いたくなりそうなほど、一見よ~く似ている気がしちゃうんです。
この二種類の貝は同じミミガイ科の種類なのでとてもよく似ているのですが、3つの見分けるポイントがありますので詳しく解説いたしますね。
貝殻の穴の数
国内産のものだと、殻に開いている穴(孔)の数が4~5個だと「あわび」。穴の数が6~9個だと「とこぶし」というように見分けることが出来るそうです。
貝殻の穴の形
さらに、「あわび」の貝殻の穴は隆起しているのに対し、「とこぶし」の貝殻の穴は平らです。
岩から取りやすいか
「あわび」は岩にしっかりくっついてなかなか取れないのに対して、「とこぶし」は簡単に取れるのも違いです。
…などなど、見分けるポイントがあるんです!
迷った時は殻の穴の数を確認してみましょう。殻から外れているものだと残念ながら見分けが付きにくいですね。
漢字のあわび「鮑」の理由
「鮑」は、「魚」へんに「包」という字を組み合わせたもの。
これは殻に覆われて岩に付着する姿が、身を包んだように見えることが由来だといいます。
中国ではもともと「鰒」と書いて「あわび」でしたが、日本で関係のない「鮑」と付けました。近代になって中国に「鮑」が逆輸入され今では中国でも「鮑」が使われています。
中国でも中華料理の素材として鮑は欠かせない食材です。中でも干しあわび「干鮑」はお祝い事の時に用いられ、干したことでさらに風味と味が凝縮すると珍重されています。
鮑料理が縁起物として扱われ、華やかさとおめでたさを演出しているのは日本と同じですね。
あわびの煮貝が山梨県の名産品なのはなぜ?
あわびの煮貝といえば山梨県が有名ですよね。
山梨県は海に面しない内陸地なのになぜあわびの煮貝が名産なんだろう?と私も疑問に思って、詳しいメーカーさんに聞いてみました。教えていただきましてありがとうございます!
江戸時代四方を山に囲まれた甲斐の国の人々はなんとか海の幸にあやかりたいと、静岡県の駿河湾で獲れたあわびを加工し、醤油漬けにして木樽に入れて馬の背に乗せて保存食として運んだのが始まりと言われているそうです。
静岡から山梨への道中、馬の背中に揺られ山を越え、体温と振動で鮑にちょうど良く味がしみ込んで甲府につく頃にはちょうど良い味に仕上がったと言います。
他の地域で食べる煮貝よりも美味しいと評判になり、山梨の名産品として根付くようになったとの言い伝えがあるそうです。
https://www.osechiya.aussie-fan.co.jp/blog/968/
あとがき
当店の金のおせちの「あわび煮貝」は、あわびの繊細なうまみと磯の香りを大切にした醤油ベースの薄味仕立てです。殻付きで肝もついたままお届けしますので、ご家庭でスライスしてあわびのおいしさを存分に味わえます。
高級素材のあわびを新年から頂けば思わず笑顔になること請け合いです。ぜひ一年の初めのお正月という大切な日にぜひ召し上がっていただきたい一品です!
ちなみに、輸入される海外産のあわびの主な種類もご紹介しますね。オーストラリア産ビクトリアアワビ、南アフリカ産ミダノアワビ、チリ産アカネアワビなどが定番で広く輸入されているそうですよ。
もし店頭であわびを発見した際は、ぜひ産地にも注目してみてくださいね!
今日もおせちやスタッフブログをご覧いただきましてありがとうございます!
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
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